ヴァニタスと二者択一

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 女が部屋を出た後、俺はゆっくりと支度を終え、大学で授業を受ける為、家を出た。  大学に友達はいない。自分の世の中の価値も見いだせていない。けれど、大学には真面目に行き、ちゃんと授業を受けていた。これは自分でも意外だと思う。  教養は良い。自分を満たしてくれる。この教養が自分を何か素晴らしいものと結び付けてくれる――そんな気だってする。  しかし、この教室にいる大半の奴らはそうじゃない。ただ単位取得の為に来ている奴や友達と会う為に来ている奴ばかりだ。  俺はそんな奴らに興味が無いし、奴らも俺に興味は無いだろう。だから、お互い話そうともしない。  ただ、それだけだ。  日も暮れかかった頃、俺は授業を一通り受け終わり、帰路についた。本日も大学での人との会話はゼロだ。  ここからの俺の生活は二つのパターンがある――  一つは、アコギを持ち出して駅前に繰り出し弾き語りをする。もう一つは、クラブで踊りに行き、名前も知らない女と寝る。  今日は前者だ。  俺は部屋で飯を掻き込みながら、ヴァニタスのBBSをチェックした後、ギブソンのアコギを握り締め、駅前へと向かったのだった。
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