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「さて、急ぐぞ」
「………」
言おうか言うまいか、考えが頭の中でぐるぐる回る。
「おい、今は考えごとしてる暇はねぇんだよ」
「!」
そうだ。
今は先のことよりも目の前のことを考えないといけない。
池田屋に…沖田さんのところに行かないと!
「行けるか?」
「はい!」
言葉と共に、走り出した。
が、私は少し走ったところでふと止まる。
「 ?…どうした?」
やっぱり…
「土方さん…沖田さん、危ないかもしれないです」
「…!」
一人で抱えることはないのかもしれない。
手紙にあった未来をそのまますべては言えないけれど、少しずつ…少しだけヒントになることを言うだけでも変わる気がする。
「おまえ…」
土方さんは多少驚きの表情を見せたが、フッと口角を上げると私に再び背を向けた。
「だったら、なおさら急がなきゃならねぇ」
「はい!」
そのまま止まることなく私たちは池田屋付近まで走り抜けた。
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