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「つれねぇなぁ斎藤。俺の飯持ってくなや。じゃないとお前も痛い目みんぞ」
富田は余裕の笑みを浮かべて首を鳴らした。
「バケモノめっ・・・・」
斎藤は俺を下ろしていきなり鍵を渡してきた。車の鍵だ。意味がわからない。
「なんの真似だ。車なら自分のがある」
「いいから俺のに乗れ!こっからあんたの車までは距離あんだろが!」
「お前はどうするつもりなんだ」
「こうなったもんはしょうがねぇ。今は自分のことだけ考えてください。俺がここで少しでも時間を稼ぎます。だから・・・お願いだから行ってください」
斎藤の背中が震えている。俺にはわからなかった。なんでこいつが俺にこの期に及んでここまで尽くしてくれるのか。よく一緒に上司に謝りに行ってやったからか。それとも実はお前がホモで「本当は俺があんたのことずっと好きでした」なんて告白なんかしてこないよな。
「なんでそこまで・・・」
「俺は!・・・・あんたのことがずっと憧れてた」
おいおいいよいよ死ぬかもしれないって時にからかってくれるなよ。ご機嫌とりならあの世でいくらでも聞いてやるから。
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