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「はいどうぞ」
「おぉ悪いな」
江崎から煎れたてのコーヒーを受け取る。いい香りだ。カップに触れ、飲むのにちょうど適温だと察したので一口口に含んだところ、一気に噴いた。
「にがっ!」
「きゃっ・・・すいません。お口に合いませんでした?」
あせあせと濡れたコーヒーを自分のスーツで拭く江崎に向かって思わずこぼれそうになるため息をこらえた。ハンカチは持ってきてないのか。それ以前に俺は甘党だから砂糖とミルクをふんだんに投入するようにと何度も言ったことがあるはずなのだが。何故か今日は一段と苦かった。狙ってるのかこの女。わざとなのか。
「いやすまんすまん。いいよわたしが拭く」
「本当にすみません桑田さん」
なんだか一生懸命拭き取っている江崎が小動物のように見えてかわいそうになってきたので怒ることはせず優しく断りを入れた。濡れているからと染みができた下半身に手を伸ばされたらたまったもんじゃないし。今の俺はどうやらロリコンに目覚めつつあるようだ。
「本当にすみません」
何度も半泣きで頭を下げる江崎を仕事に返して改めて濡れた書類を見る。・・・・・ゲッ、こりゃヤバイわ。
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