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「次の部屋に入ると、右手には客船の模型、左手には同じように寝袋があった。床にはやはり紙が落ちてて、そこにはこうあった」 「『3つ与えます。ひとつ、右手の客船を壊すこと。ふたつ、左手の寝袋を燃やすこと。みっつ、あなたが死ぬこと。ひとつめを選べば、出口に近付きます。あなたと左手の人は開放され、その代わり客船の乗客は死にます。ふたつめを選べば、出口に近付きます。その代わり左手の人の道は終わりです。みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、あなたの道は終わりです』」 「客船はただの模型だった。普通に考えればこれを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。けどその時、その紙に書いてあることは絶対に本当なんだと思った。理由なんてないよ。ただそう思ったんだ」 「僕は寝袋の脇にあった灯油を空になるまでふりかけて、用意されてあったマッチを擦って灯油へ放った。ぼっ、という音がして寝袋はたちまち炎に包まれたよ。僕は客船の前に立ち、模型をぼうっと眺めながら鍵が開くのを待った」 「2分くらい経った時かな、もう時間の感覚なんかはなかったけど、人の死ぬ時間だからね。たぶん2分くらいだろう。かちゃ、という音がして次のドアが開いた。左手の方がどうなっているのか、確認はしなかったし、したくなかった」
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