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「僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた」
「光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。三つの遺影があった。父と、母と、弟の遺影が」
「これで、おしまい」
彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。こいつのこの話は何なんだろう。得も言われぬ迫力は何なんだろう。
そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。
僕はビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。
「……んな気味の悪い話はやめろよ! 楽しく嘘の話をしよーぜ! ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」
そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。
その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。
そして、口を開いた。
「もう、ついたよ」
「え?」
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