幼馴染「……童貞、なの?」 男「 」

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「なにしにきたの?」  幼馴染は変な顔をした。 「妹ちゃんと話をしに」 「話、ですか」  せっかくの終業式の午後に。  そういうこともあるだろう。 「一緒に買い物してて、帰るの遅れたんだ。ごめん」  なんで謝るんだろう。 「風邪、うつるから。早く帰ったほうがいいよ」  幼馴染は頷いたけれど、すぐに立ち去ろうとはしなかった。 「どしたの?」  彼女は何か迷うような表情をしていた。  やがてそれを断ち切るように顔を上げて、俺の方を見た。 「ごめん、やっぱり帰るね」 「言いかけて止める癖、やめろよ」  ちょっと本気で言った。  幼馴染は苦笑して応える。 「ごめん。なんか、言いたいことはあるんだけど、自分が言うべきことじゃない気がするんだ」  分からないでもない。  そのあたりの線引きは難しい。  俺と幼馴染が、家族のように育ったとしても家族ではないように。  どこまで踏み込んでいいかは難しい。 「なんだよ。遠慮すんなよ。俺らの仲だろ」  寂しさを紛らわすためにわざと茶化した。彼女はそれを無視して部屋から出て行こうとする。 「明日、お見舞いくるから」 「缶詰買ってきて」  距離を測りかねている、と思った。  線引きが難しい。
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