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玄関を出て、二人肩を並べて歩く。まだ少し早い時間だが、あのまま家にいても落ち着かないだろう。
なんだかアンニュイな雰囲気。
歩きながら妹は、気のせいかと聞き逃しそうになるほど小さな声で謝った。
何を謝ることがあるんだと言ってやりたかったが、そんなことを言っても妹は喜ばないし、いつもの調子を取り戻さないだろう。
いいよ、と軽く答えた。なんとなく、自分の態度に苛立つ。何をえらそうにやってるんだ。おまえが家事をやれ。
なんだって、わざわざ家事を引き受けてくれている妹がダメージを食らうことがあるのか。
俺の態度が悪いのかも知れないな、とふと思った。
文句のひとつでも言ってやれば、「じゃあアンタがやればいいでしょ!」と逆ギレしてくれるかも知れない。
それはそれで、お互いストレスがたまりそうだ。
良い兄であろうとするのも考え物かも知れない。基本的にはダメ兄なわけだし。
「家事、手伝ってほしいときは言ってくれていいから」
一応、そう伝えておく。そっけなくならないように細心の注意を払って。
別におまえの仕事に不満があるわけじゃないぞ、と言外に想いを込めて。
「……うん」
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