幼馴染「……童貞、なの?」 男「 」

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 落胆した様子のまま、妹は小さく頷いた。これ以上は何を言っても逆効果だろう。  ちょっとくらいのミスがあっても、今の時点で充分すぎるくらいがんばっているのに。  自分のいいところって、見えないのかもしれない。  一通りの家事をこなせるようになってから、妹は家事のすべてを自分ひとりでやりたがった。   最後には家事を仕込んだ側の俺が折れて、妹に全部を任せるようになったけれど、やっぱり分担は必要だったと思う。  お互い、とるべき距離を測りかねているのかもしれない。  両親は仕事で忙しくて、帰ってくるのはいつも夜遅くだから。  俺たちがそこそこ成長したからか、最近ではろくに帰ってこないこともある。  でもやっぱり、俺たちはまだ子供なのだ。  どうしたものか。  考えながら歩いていると、すぐにファミレスにつく。徒歩十分。奇跡的な立地。 「何名様で」 「二名です」 「禁煙席喫煙席ございますがどち」 「禁煙席で」  日本人は相手の言葉を最後まで聞かずにかぶせるように返事をすることが多い。  というか、見るからに学生なのに喫煙席を選択肢に入れるな。
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