幼馴染「……童貞、なの?」 男「 」

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 後輩の話をするとき、俺はやけに饒舌になった。たぶん、彼女のことが好きだからだろう。恋愛とは別に、人間として。  俺が長々と続ける後輩の話に、妹は普通に感心していた。  どこか大人のような雰囲気を持つ後輩。  ザ・スタイリッシュ。やることなすことなんだかスタイリッシュ。やたら大人びている。そんな後輩。一緒にいると退屈しない。  独特の空気を持っていて、同じ場所にいると俗世とは縁遠い場所にいる気分になる。    あと、ときどき「森のくまさん」を鼻歌で歌う。スタイリッシュな表情で。からかっても照れない。手ごわい。  甘いものが好きで、いつもポケットに忍ばせている。  姉と妹がひとりずついる。面倒見がいい。頼られ体質。 「姉って何歳の?」 「たしか、俺と同い年だったはず」 「同じ学校かもね」 「ないない。そんな偶然ない。あったらおまえと結婚する」 「その冗談、意味分からないから」  ひとしきり話題を消化しきった頃、愛想の悪いウェイトレスが注文した品を届けにきた。悪くない味だった。
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