幼馴染「……童貞、なの?」 男「 」

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 帰路の途中で、いつのまにかイライラがなくなっていたことに気付いた。    後輩恐るべし。  彼女の持つ謎の癒しパワーはいずれ軍用化されかねない。  家に帰ってからリビングのソファに座って妹と『2001年宇宙の旅』を鑑賞した。  冒頭から意味不明の映画だ。なぜだか数十分間(ひょっとしたら数分かも知れないが、体感時間的には数十分間)猿の闘争を見せられる。  やがて舞台は古代から現代を通り越し近未来へ。この時点で謎は深まるばかりだ。さっきの猿はなんだったのよ。  話は静かに進んでいく。宇宙船(厳密には違うかも知れないが、素人から見るとそのようなもの)の中で音もなく進む話。  やがて人類の月面基地へ。ちなみに舞台設定、時代背景の一切は説明されない。予備知識なしで見たらぽかんとすること請け合いだ。    この映画のすごいところはいくつか挙げられる。  全編を通して音による演出がほとんどないこと。台詞すらも極端に少ない。そのおかげで眠くなる。  映像による演出が凝っていること。これそんなに必要か? というシーンにやたら長い尺を取っている。そのおかげで眠くなる。  にもかかわらずSFファンには高い評価を得ていること。理解ができないので眠くなる。  以前サラマンダーとマエストロに見てみろと薦めたことがある。DVDを貸した。翌日、変な顔で返された。子供には理解できない世界。俺も理解できない。  正直に言うと、この映画を最後まで見れたことがなかった。  今日こそは、と意気込んでみても、眠い。がんばってもラスト十分で眠ってしまう。  妹は開始三十分で眠っていた。肩に頭が乗せられる。もやもやする。気分が。いろんな意味で。
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