試練

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帰り道、梨香と小百合ちゃんは他に寄る所があるからと、途中で別れた。 そして流と二人になった。 「…。」 「…。」 無言で歩く。 その沈黙を破ったのは、流だった。 「お前さぁ、もしかして好きな娘…いる?よな?」 「…。」 「もしかして、さっきの、団扇の娘か?」 さすが流さん。 隠し事は出来ない。 というか、お見通され過ぎてる俺は俺で…どうよ? 「うん。…あの娘。団扇くれた。」 「そか。…何となく最近悩んでるっぽいなと思ってたんだよな。」 それ以上は聞いて来なかった。 何で好きになったのかとか、どこまでの関係なのかとか。 こういう所が、いい奴なんだよな。 根掘り葉掘り、他人のプライバシーにむやみに入り込んだりせず、相手の性格や気持ちを考慮して動く。 「で?告白すんのか?」 うん、そうそう、こういう風に、ズバッと単刀直入に切り込むところも、 流だよな。
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