ヘタれ

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「……ありがとう。何で俺なんかか分からないけど、ありがとう。」 ありがとう二回言った。 「梨香とよく喋ってるの見てて、気になり出して…。夏休み遊びに行ったのも実は私が梨香にお願いして…。学祭も、凄く嬉しくてっ」 もう夜になろうとしている暗い中、校内の外灯の仄かな明かりしかないこの場所からでも、 小百合ちゃんの顔が赤いのが見て取れた。 一生懸命に想いを伝えようとしているこの娘は、誰が見ても可愛く守ってあげたくなるだろう。 俺は、こんな娘を、フろうとしている。
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