ヘタレ脱出?

8/24
前へ
/286ページ
次へ
「ください、それ。」 バンドエイドを指差した。 「えっ。足り…ますか?」 不安げな彼女。 「因みに、何枚あります?」 「えーっと…これだけ…」 バンドエイドを持った手のひらを広げた。 5枚くらいかな? 「良かったら、貰ってもいいですか?」 「勿論です!!」 受け取ったところで、先程の車掌が戻ってきて 「君、怪我してるんだったね!他に怪我した人、体調悪い人は居ませんか~!?」 呼び掛けて他は誰も居ないと確認すると、いつの間にか線路脇に到着していた救急車に、半ば強引に乗せられて行ってしまった。 車両から降りる間際チラッと振り向くと、 彼女はまだ心配そうに見てくれていた。 俺の手には、可愛いい柄のバンドエイドがしっかりと収まっていた。
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加