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結局何も話せないまま、俺は彼女より先に電車を降りた。
最寄り駅は俺より先なんだな。
たしかに朝乗る時は、すでに彼女は乗っているから当然か。
ホームへ降りて動き出した車内を見ると、彼女は俺の座っていた席におさまっていた。
そんな些細な事でも、、嬉しいな…。
―あれ?ここで一つの疑問。
帰りの場合、彼女の学校は俺の次の駅。
てことは、さっき俺が乗った時点ではまだ彼女が居るはずないよな?
なんで??
アホな頭の割にすぐその理由に気づいた。
今日は部活中の怪我で、顧問の先生の車で病院へ行った。
その病院は彼女の学校より帰り方面側の隣の駅前にあったからだ。
時間と病院の場所、乗った車両、全ての偶然が重なったおかげの、ラッキーな出来事だった。
まだドキドキを止めない心臓。
彼女の優しさは“俺”にではなく“怪我人”に向けられたもの。
それは判ってるつもりなんだけど……
理屈じゃどうにも出来ないこの気持ち。
やっぱ好きになったのかな?
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