63人が本棚に入れています
本棚に追加
ダッシュダッシュダッシュ
ゼーハー言いながら駅に着き、階段を二段跳びに降りていたら、いつもの電車が出発を知らせるベルを鳴らしていた。
間に合ってくれー!
階段を降りてすぐ近くの車両。
滑り込みする勢いで乗ろうとしたのに、 ドアの前に塞がっている人がいた。
杖をついたお婆ちゃん。
何が入っているのか、パンパンに詰まっていそうなキャリーバックを持っている。
ホームと電車の間には隙間があるし段差もある。
バックが重くて、なかなかうまく入れない様子だった。
一度ドアが閉まりかけ、かろうじて車内に入っていた杖に当たって反応したのか、また開いた。
てか車掌! 見えるだろ?
待ってあげろよ!
俺も勿論この電車に乗りたいし、ほぼ条件反射で、キャリーバックとお婆ちゃんを抱え込むように乗車していた。
「ありがとうございます~」 と、お礼を言うお婆ちゃんのシワシワの頬っぺたが、心なしかピンクになった気がした…
最初のコメントを投稿しよう!