63人が本棚に入れています
本棚に追加
/286ページ
「で、大丈夫なの?足」
翌日。
いつもノリよくからかう梨香が、珍しく心配そうに聞いてきた。
「おぅ。ただの捻挫だしな。松葉づえは大袈裟だよな」
「部活しばらく休むのか?なら、俺遊んでやろうか」
「流!捻挫で練習は出来なくても、マネージャーの手伝いくらいはしてもらいますからっ。流の相手してる暇はないの!」
「…鉄男。気の毒に…」
流にハハッと笑いを返しながらも実際梨香の言う通りだよな、と思う。
たしかに練習に参加出来なくても、やろうと思えばいくらでもする事はある。
部室の掃除や、道具の手入れなど。
せめて上半身の筋トレもしないとな。
「ちょい松葉づえ貸してくれよ~」
さっきから視線を感じていたと思ったら、クラスメイトの男子が杖を指差しながら頼んできた。
面白がって取っ替えひっかえ松葉づえで歩いてみている。
分かる分かる。
使った事ない人は、不謹慎ながら密かに憧れのような物を抱いて使ってみたくなる。
実際は大変だぞ?
「うわっ。脇痛~っ」
…な?
最初のコメントを投稿しよう!