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右手の『名誉の負傷』(せめて自分だけでも言っておこう)も、ほぼ完治した頃、街はクリスマス色がより濃くなっていた。
遊園地から10日ほど経って、現状はというと
彼女とは相変わらず朝電車が一緒だがお互い話す事はなく、情けないが一方的に見ているだけ。
小百合ちゃんとはアドレスは教えたものの、最初の『ありがとう。これからも宜しくね』という挨拶メールで終わっていた。
俺からは別に何も用事ないし…
そんなある日、またまたお節介虫の梨香が
「〇×駅でイルミネーション綺麗だって!皆で一緒に見に行こうよ~!」
と誘ってきた。
皆というのは、当然あのメンバー。
「あぁ、あそこは何時も綺麗だもんな。」
この辺りでは有名なイルミネーションスポットだからだいたい知ってる人は多いが、
何だか経験上の意見に聞こえる。
誰かと行ったことあるんだろうな。
まさか家族とじゃないだろし、
女の子と。
同じように感じ取った梨香は顔が一瞬強張った。
が、すぐいつもの笑顔で
「ね?綺麗なのっ、見たいでしょ?」
俺に振ってくる。
どうせ嫌がっても何かと丸め込まれて連れて行かれるのは目に見えていたので、了解した。
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