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彼女が見ていた本は多分これ。
中を見ようとページを開こうとしていると、
「鉄男。見つかったのか?」
流が後ろの本棚から覗いてきた。
「あ~、う?うん、まだ…。こ、これは、うちの母ちゃんがなんかこんなヤツ見たい~って言ってた気がするから一応…」
と、明らかに挙動不審な感じで、その本の貸出手続きを素早く済ませた。
流の何か怪しいんでる視線を無視し、それから一時間ほど勉強して帰った。
梨香は自転車、流は電車だが逆方面。
学校で梨香と別れて、駅までの道を歩いていると流に
「なんかさ…最近変わったな。てか、隠してる?」
とズバリ言われてしまった。
これまでの人生の中、好きな子が出来てそれを男友達に言って、失敗した経験がある。
それは恋愛がよく分からない小・中学生の頃で、今思えば本当に好きだったかどうかも怪しい。
周りがするから、自分もノッて恋愛してた気になっていただけ。
しかも元来照れ屋な俺は、ガンガン自分からいけないタチで…
そんなフワッとした恋愛だったからか、相談して告白前に相手にばれて、そのまま何にも発展せずに終わった、、みたいな。
つくづく情けない俺…
でも、今回のこの恋と呼んでいいのか分からない彼女との事は、過去の少ない恋愛経験の中では感じた事のない気持ちがいっぱいで、
この気持ちは
独り占めしていたい。
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