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言うなれば、この前の痴漢クソオヤジと同じ立ち位置。
一つ違うのは、彼女が俺の方…いやいや、車内の方を向いているという事。
どうする俺!?
手っ、手は。どこへやったら!?
吊革は微妙に届かねぇ…
満員だけど、まだ彼女との間には15cmほど隙間がある。
鍛えた足腰で、耐えるしかない…!
ガタンッ
電車が揺れた。
グググ~ッ
足を支点にバランスを取るのに成功!
…ふぅ、耐えた。
空いてる時は気にならない程度の揺れも、満員だと間に余裕がなく周りに気を遣うからか、めっちゃバランス取りに筋肉使う。
今は尚更…
と思ったのも束の間、電車がカーブに差し掛かり大きく揺れた!
ガターンッ
車内のあちこちで吊革がきしんだり、人と人がぶつかったり…
そして俺は……
!! ダンッ
油断してた…
足だけじゃ耐えきれなく、彼女の顔少し上辺りの壁に手をついてしまった。。
しかも人の詰まり具合も微妙に変化し、今や俺と彼女の間10cm前後!!
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
何度も揺れ、その度手で踏ん張って彼女に負担がいかないようにする。
今になって、あのオヤジサラリーマンが羨ましく思えてきた。
本当は少しでいいから…
触れたい。
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