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至近距離のために心臓の音が聞こえないかと、今度は早く駅に着いてくれと願う。
それからすぐに駅に着き、人がまた大量に出て行った。
後方に人の気配がなくなり、即っ、壁についてた手を離しななめ後ろの吊革へと少し移動する。
彼女は、余裕のできた空間の中で体の向きを変え、ドアから外の景色を見ていた。
俺も車窓から暗くなった景色を見た。
都会ではないので、ほとんどが住宅の明かりだ。
でもその仄かな明かりが、さっきまでの彼女との距離による緊張とドキドキの余韻を優しく包み混んでくれたような錯覚に陥り、
ずっと見ていた。
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