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そのまま何気なしに女子高生に視線が止まる。
その子は譲った席から少しズレて、ドア横に立ち、文庫本のような物を読み始めた。
いつもと同じ時間の同じ車両。
どんな人が乗ってたかなんて見てもいなかった。
そんな自分が、まさかこの女の子を意識するようになるなんて。
あんなに強く恋い焦がれるようになるなんて。
この時の俺は、すぐにやってくる恋心にもまだ気付かずに、
ただぼんやりといつもと同じ外の風景を眺めていた。
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