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試験が終わり、帰る準備をしていると、一緒に帰ろうと流が誘ってきた。
さっきの気まづさもあり、会話はいつものようには弾まない。
と、ふいに俺の顔を軽く覗きこんできた。
「あのさ…オレの事、どう思う…?」
いつも自信あり気な流が、自信なさ気に聞いてきたから…
「え!勿論いいヤツだよ!悔しいけどイケメンだしなっ。 まぁ…さっきの子は、しょうがないよ! 他に好きな子がいるんだろ?それでも何人でも付き合うような奴も中にはいるんだし、そんなんに比べれば誠実な対応だったと思うぜ?お前は正しいよ。気にするなって!」
友達相手に冗談じゃなく誉め言葉を言うのは…照れるな。
一気にまくし立てた俺を見て、流は一瞬真剣な眼差しを向けたが、すぐ伏し目がちにフッと微笑んだ。
「あの子には可哀想だけど、嘘はつけないもんな」
何か他にも言いたげに見えたが。
その後は黙ったまま改札口でいつも通りに別れた。
百戦錬磨、とまではいかないまでも俺より遥かに告白され慣れている流。それでもけっこう気にするんだな…
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