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試験も一時間で終わっていたので、午前中の診療時間内ギリギリで診てもらえた。
実はもう全然何ともないが来てしまった手前、まだ時々少し痛むんです…などと嘘をついてしまった。
そして湿布だけしてもらって、病院をあとにした。
この駅から乗るのは二回目。
前回は何も考えなしに乗った車両が、たまたま普段自分が利用している最寄り駅の階段そばに位置する車両だった。
そこで彼女に席を譲ってもらったんだ。
…またしても彼女の事を考えてしまっていた俺。
「はぁ…」
と溜め息が出たところに電車が到着した。
平日の昼間だが、だいたいどこの学校も試験期間なので、わりと席が詰まっていた。
乗り込んで空いてる席を探す。
いつも満員じゃなく空いててもよっぽど疲れてない限りは、ドア横に立つ。
だけど精神的に落ちてる今は、体だけでも楽になりたかった。
ラッキー!空いてる席発見!
ふーやれやれ…と、じいちゃんみたいな心境で席に腰を下ろす。
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