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シグマが、この世に誕生して五年の月日が経った。
神が言った通り、誕生日を迎えた朝に封印された人格が現れたのだ。
シグマの容姿は大きく変わり、整った顔立ちに輝く銀髪に紅の瞳持った美少年へと変わっていた。
此方の父、カイル・アーヴェリンクスと母リリス・アーヴェリンクスは、ごく 普通の一般家庭に見えるの
だが、とうやら二人とも素性隠して暮らしているらしい。
理由としては彼らの娘、シグマの姉にある。
姉の名前はセツナ・アーヴェリンクス(6)、死神との一方的な契約によって、光を失った少女である。
彼女を守る為に両親達は、身を潜ませているのだろう。
そんなある夜、シグマはある目的を持って両親のいる部屋を訪れた。
「なんだいシグマ、眠れないのかい?」
そう言ってカイルは、シグマの頭を優しく撫でた。
「本当にごめんなさい。
あなたに窮屈な思いをさせて…」
「ううん、僕は平気だよ。
それより、お姉ちゃんの方が…」
「シグマが気にする必要は無いんだよ。
セツナは僕達の可愛い娘はきっと守るから…」
「だから、あなたは安心してお休みなさい…」
そう言ってリリスはシグマの額にキスをした。
「分かった。
でも、その前にお姉ちゃんにお休みの挨拶をしてもいい? 」
「ああ、いいよ。
セツナも喜ぶからね。」
そう言ってシグマをセツナの部屋に入れた。
「シグマ?」
「お姉ちゃん…」
「来てくれたのね。
とても嬉しいわ。」
セツナは手探りでシグマの元までやって来た。
「お姉ちゃん、今日はある事をしに来たんだ。」
「何かな?
子作りは、まだ私達には早いよ?」
(この姉は、どんな妄想をしているんだ。)
「違うよ。
今日はお姉ちゃんの契約を破棄させる為に来たんだ。」
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