五年後って、早いわ!!

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そう言った瞬間、セツナは顔色を変えた。 「む、無理よ。 第一、何故あなたが、契約の事を知ってるの? お父さん達はあなたには病気だと言ってあるはずよ?」 「僕の脳には世界の情報がある。 分かるかな? お姉ちゃんが病気じゃない事なんか、すぐに分かったよ。 これは、契約による五感の一部を取られたんだね。 そんな事が出来るのは、死神だけ…」 「…」 「まあ、いいや。 じゃあ、さっさと始めるよ。 お姉ちゃんの了解なんて必要無い。 これは、僕がやりたいから、勝手にやることだ。」 そう言って、シグマはセツナの額に手を翳した。 パリィン 何かが割れるような音がしたと同時にセツナは倒れた。 彼女の体から黒い靄が現れ、それは大鎌を持った黒衣の骸骨へと姿を変えた。 『汝、我が神聖なる契約を破棄した罪により、死罪を言い渡す。』 「お前にそんな権限は無いんだよ。」 『汝、誰に言っているのか、理解しているのか?』 「お前こそ、俺が誰なのか分かっているのか?」 『ふん、我は汝など知らぬ。』 「じゃあ、身を持って後悔しな!!」 それは一方的な暴力だった。 実体の無いはずの死神を掴み、殴り、叩き付け、大鎌の刃を素手で掴み、握り砕いた。 体の殆どを失った死神は、一部を煙に変えながら地に伏していた。 「もうセツナにはまとわり付くな。 それを約束するなら命は助けてやる。」 『分かった。 もう彼女にはまとわり付かない。 我も迂闊だった。 まさか神に近し者が、この世にいるとは…』 「俺をあの糞神と一緒にすんな。 それにお前だって、一応神だろう。」 『そうだったな。』 「それじゃあ、俺が送り帰してやる。 いいか?」 『助かる。』 「じゃあな。 死神…」
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