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死神の契約を解いて十年の月日が経った。
シグマの両親は仕事、ギルド員として復帰し、今日も仕事に行った。
セツナは帝国の軍に所属し、少佐の階級を貰っていた。
今は一人で、家を買って暮らしをしている。
今度シグマが帝国の学園に通う際に、セツナの家から通うという案を頑なに断った。
それは、セツナのシグマへの溺愛っぷりを見ると無理もないだろう。
一年前までは、いつもシグマと共に行動し、トイレや風呂、ベッドの中まで侵入して来ようとして来た事を思えば、学生寮から通う方が、貞操の安全度が各段に変わるからだ。
そんな事もあり、シグマはようやく普通の学園生活を送れるのだ。
そして、入学式…
シグマは愕然としていた。
それは些細な、いや、重大な事だった。
本来ならば、この学園の最高責任者が立つべき場所には、シグマの姉、そう、セツナが立って弟の話を永遠と語っていたからだ。
(姉さんは何をしてるんだ?
つか、誰かあの暴走を止めろよ…)
シグマがそう思った矢先、一人の勇気ある教師が立ち上がり、セツナの元へと歩み寄って行った。
「セツナ様、そろそろお時間が…」
教師を一瞥した後、見える程の濃度の魔力を全身に纏い、ショック死しそうな程の殺気を出した。
「…貴様…
私の愛する弟に対して文句でもあるのか?」
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