更に十年って…

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「…セツナ… 魔力、強化した拳で、殴るなんて、卑怯だろ…」 一瞬、レイは意識を取り戻したが、すぐに意識を失った。 セツナが強引に意識を刈り取ったのだ。 「ふん、こんな駄教師の事より…」 セツナは無表情から一転、花が咲いたような笑顔を浮かべ、教室を見渡した。 教室の男子と女子はその純粋な笑顔に一瞬で落とされた。 シグマは存在を薄くして、目が合わないようにした。 しかし、その些細な抵抗もブラコンの前では、無力となる。 「み、つ、け、た♪」 その言葉を聞いた時、シグマの全身から冷や汗が吹き出した。 (来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな。) シグマの切実な願いも虚しく、セツナがシグマの元まで歩み寄り、全力で抱き締め、頬擦りをした。 「あぁ、私の愛しい愛しい弟(ひと)よ。 やっと、やっと会えた。」 セツナのその行為に周りの生徒がうろたえた。 シグマの隣の席に座っていたアルが、どうにか質問をした。 「シグマ? このお方は、さっき入学式で…」 シグマという名前に反応したセツナが、アルに視線を向けた。 「んっ? なんだ貴様は? 軽々しく、私のシグマの名を呼ぶな。」
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