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「…セツナ…
魔力、強化した拳で、殴るなんて、卑怯だろ…」
一瞬、レイは意識を取り戻したが、すぐに意識を失った。
セツナが強引に意識を刈り取ったのだ。
「ふん、こんな駄教師の事より…」
セツナは無表情から一転、花が咲いたような笑顔を浮かべ、教室を見渡した。
教室の男子と女子はその純粋な笑顔に一瞬で落とされた。
シグマは存在を薄くして、目が合わないようにした。
しかし、その些細な抵抗もブラコンの前では、無力となる。
「み、つ、け、た♪」
その言葉を聞いた時、シグマの全身から冷や汗が吹き出した。
(来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな。)
シグマの切実な願いも虚しく、セツナがシグマの元まで歩み寄り、全力で抱き締め、頬擦りをした。
「あぁ、私の愛しい愛しい弟(ひと)よ。
やっと、やっと会えた。」
セツナのその行為に周りの生徒がうろたえた。
シグマの隣の席に座っていたアルが、どうにか質問をした。
「シグマ?
このお方は、さっき入学式で…」
シグマという名前に反応したセツナが、アルに視線を向けた。
「んっ?
なんだ貴様は?
軽々しく、私のシグマの名を呼ぶな。」
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