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セツナはアルに殺気を送ったが、アルは冷や汗をかきながらも気を失わずにいた。
シグマの先程の助言を実行しているのだろう。
シグマは諦めたのか、疲れたような顔で深い溜め息をつき、セツナに言った。
「姉さん、アルは僕の友達だからいいんだよ。」
「んっ、シグマがそう言うなら…」
セツナはすぐに矛を納め、頬擦りを再開した。
「俺はシグマ・アーヴェリンクス、そして、今俺に抱き着いているのが、姉のセツナ・アーヴェリンクスだ。」
セツナの名を聞くと、周りのざわめきが一段と大きくなった。
それもそのはず、彼女は最年少で軍の隊員になり、最短で少佐の地位に上り詰め、今や軍の最終兵器とまで言われている程の人物だからだ。
何を思ったのか、セツナは急に殺気を出し、ドスの効いた声で言った。
「おい、メス豚共。
私の可愛いシグマに手を出してみろ。
その場で跡形も無く消し去ってやるからな。」
一向に話が進まないので、呆れたシグマは時を止めた。
「姉さん、それで、なんの用で此処まで来たの?」
「いや、ただシグマに会いたくてだな。」
この姉は非常にめんどくさい。
以前、シグマに嫌われたと思って、喉を切り裂いて死のうした程だ。
当然、シグマがすぐに治療を行ったので、傷は綺麗に消えたのだが、下手をすると世界を巻き込んでまで自殺するかもしれないから、不用意に何も言えないのだ。
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