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黒猫がいました。
彼は人間が嫌いでした。
仲間と同じようにゴミをあさっても人間は彼だけを毛嫌いしていたからです。
ある日黒猫はとげとげした尻尾をもった親友のトラネコにいいました。
『はぁ……俺さ、この町から出ていくよ。
あいつら最近は俺に石まで投げてくるようになった。
それだけじゃない、おまえたちにも迷惑が掛かる。
だから明日、広場の小屋のニワトリが鳴くぐらいに俺、行くよ。』
トラネコは悲しくなりました。
でも黒猫がいじめられるのをこれ以上みていられませんでした。
『そうか……。
おまえがそう思うのなら……。
でも、俺たちはおまえを迷惑だなんて思っちゃいない。
一月前に三丁目のミィが教会の向かいの家からぱんの耳を盗んだときだっておまえが助けてやってなきゃミィはあの家のドーベルマンに噛み殺されてたさ。
それだけじゃない、おまえは俺たちのために体にたくさんの傷を負い続けてきてくれたさ。
でも止めはしないよ。
お前が決めたことだからね。
ただ、一つ約束してくれ。
一年に一度、クリスマスにはこの町に立ち寄るって。』
黒猫はいいました。
『わかった、約束する。』
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