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気高い息吹き。
怒号。
迫り来たり押し寄せ覆い被せる。
滴る恵みが一斉に牙を剥き代わる代わる力任せに打ち付ける。
黒と灰色の波は重なり合いながら行き先もわからないまま走り続けた。
我に返ることさえ忘れ愚かに走り続けた。
白い雲が譲るように割れて青色の空がにこやかに降り注ぐ。
あれはもう通りすぎ穏やかな黄緑の風がそよぐ。
うず高く積み上がる吹きだまりは黒い影の中動かない。
その影から金色の光の粒が空へと舞い始めた。
あちらこちらから沸き上がる光の粒たち。
吸い寄せられるように天へと上がる。
その柔らかな光は堅い意思を持ち地上を照らしていた。
青空が溢れるこの太陽の時になお輝いていた。
決して忘れてはならない。
この黒と灰色の化け物を。
決して忘れてはならない。
あの神聖な気高い光を。
今から大きな狼煙を上げ讃歌を謳おう。
ありふれない薫風の息吹きで。
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