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道路の真ん中に悪魔はいた。 悪魔と呼ぶにはとても綺麗で、でも人間と呼ぶにはとても冷たい目をしていた人だった。 道路の真ん中にいるのに、何故誰も声をかけないのだろう。 あたしははじめ、悪魔とは気付かず普通に話しかけた。 「あの、こんなとこにいたら危ないですよ…?」 その人は一瞬びっくりしたようにこっちを見てそのあと、こう言った。 「おまえ、俺が見えるのか」 「へ?そりゃ…見えますけど」 何を言っているのか理解できなかった。 「ほぉ…。おまえ、心に闇を抱えているのか」 「はぁ?」 なんで見ず知らずの人にそんなことを言われなければいけないのだ。 あたしは話しかけてはいけない人に話しかけてしまった、と直感で思った。 「俺はな、悪魔だ。おまえら人間には普通見えない存在なんだ。だが、心に闇を負っている者には見えるんだ」 「あの…頭大丈夫ですか?悪魔なんているわけないし」 「なら試しにおまえの望みを1つ叶えてやろう。望みを言え」 馬鹿にしてるのか? そう思ったが、さっさとテキトーに済ましておこうと思って、 「あそこのアイス食べたい」 と、すぐそこにあるアイス屋さんを指差して言った。 上手くいけば、買ってもらえるかもしれない。 あたしはそれくらいしか考えていなかった。
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