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「いいだろう」
自称悪魔はなにやら唱えはじめた。
すると悪魔の手の平からアイスが出てきた。
「ほら。アイスだ」
「えっ?今のどうやったの?マジシャンなの?」
「違う。言っただろう、俺は悪魔だ。どんな願いも叶えてやることができる」
いつものあたしなら絶対変な人だと思ってすぐ逃げていただろう。
でもあたしはそんな悪魔に縋りたくなるくらい追い詰められていたのだ。
「あなたが本当に悪魔なら…悪魔さん、あたしのこと食べてもいいよ?」
楽になりたかった。
「はぁ?俺は人間食べたりなんかしねーよ」
悪魔って人間食べないんだ…
でも…
「…どんな願いも叶えてくれるって言ったじゃない」
「おまえ、死にてぇの?」
「…うん」
「なんでだ。理由によっちゃ食ってやらんこともない」
「あたしね…息苦しいの。なにもかも。この世界が嫌いなの。いなくなりたいの!あたしがいなくなったら…みんな、喜ぶし…」
「おまえ、嫌われてんのか?服も、それ誰かにやられたんだろう?」
悪魔はあたしのボロボロの服を指差して言った。
「うん…」
「何故嫌われている」
「理由なんてないよ。ただ、みんなね、怖いんだよ。一人になるのが。いつ仲間外れにされるかわからないから。でも、クラスで一人ターゲットを決めてそいつをイジメたら、自分がイジメられないでしょ?そのターゲットがあたしだったの」
皮肉にもクラスは前よりも団結していた。
あたしをイジメることで、みんな仲間意識を待ち、仲良くなった。
「おまえは、それでよかったのか?」
「仕方ないもん。きっとあたしが逆の立場でも同じことしてた。だって仲間外れにされたくないもん。誰か犠牲になるしかないの」
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