親の発明

13/15
前へ
/346ページ
次へ
「ど、どういう事だ?」 訳がわからず聞き返す。 「これは人生経験でもある。異世界に行けるなんて、この先あると思うか?」 そんなの、あるわけ無いだろ! そんな事を思いながら言い返す。 「な、無いだろうな…」 怒りを抑えたのが、いけないのか、戸惑った口調になってしまった。 そのせいで、親父が調子に乗ってしまった。 「そうだろう、そうだろう。そのために、安全に異世界に行けるように改造したんだ」 「うわぁ…、無駄な努力…」 呆れて言う。 「何だと!」 俺の言葉に親父が憤慨した。 「まあいい」 すぐに落ち着いたけど。 「とりあえず、これを見ろ。これが異世界転送機だ!」 そう叫んで指差したのは、コインランドリーにありそうな洗濯機だった。 そして、俺は自慢げに言う親父に腹が立った。 「おい、親父。これは何だ?」 低い声で言う。 「何って、転送機だ」 「ふざけてんのか?」 「何を言う!疑うなら、とにかく入ってみろ」 親父は俺の手を取って、洗濯機に近づく。 「入れ〓」 「入るかぁ!!」 俺を洗濯機に押し込み始めた。 くそ、何で親父にこんなに力があるんだ!? よく見ると、見慣れない指環がついていた。
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!

705人が本棚に入れています
本棚に追加