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「ふぁぁ、よく寝たなぁ」
午前9時に起きた俺――木原 真は二階の自分の部屋から降りてきて居間に向かった。
「おはよう、真」
「おはよう、親父」
居間で俺を呼んだのは親父の木原 宮子だ。
ん?女っぽい名前だって? 大丈夫だ、問題ない。親父は女だ。俺が親父と呼んでいる理由はいろいろあるが、簡単に言えば、親父が無理やり呼ばせている。
別にお袋でもいいが、そう呼ぶと胸に発作が起こる。親父と呼ばせるために、自分にそう催眠術をかけたらしい。ハッキリ言ってめんどくさい。
俺がそう思っていると親父は元気そうに
「今日の朝飯は松阪牛のステーキだぞ」
「朝から重たいし、豪華すぎだろうが! どっから盗んできた!?」
「失礼だな。きちんと買ったものだ。もちろん、私の財布からだ。安心しろ」
そう言われて安心する。ちなみに親父は発明家で結構金持ちだ。
「そうか…、それでも、朝からステーキは重いだろ。台所借りるよ」
俺は親父に言うと、台所に行く。
「ん?どうした?」
「このままじゃ、キツいから、あっさりにする」
俺は冷蔵庫から大根と醤油を取り出して、おろし醤油を作った。
「後は…」
さらにステーキを薄くスライスして、その上におろし醤油をのせて、おろしステーキを完成させた。
「うん、すごくうまそうだ」
出来に満足する。
そして、居間に戻った。
「うらやましい…」
親父は物欲しそうに見てくる。上目遣い+涙目で普通の男だったら、悩殺されるが息子の俺には効かない。
しかし、
「しょうがないなぁ」
同情して、おろし醤油を分ける。
親父は顔を輝かせる。
「真、ありがとう!」
「あ、あぁ、別にいいよ…」
俺は少し照れてしまった。
ん?誰がツンデレだっ!!
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