異世界へ

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「なぁ!?す、素手で戦う気か!」 悶えていた親父が俺の状況に気付いて、慌てていた。 今度は親父が落ち着かねぇな。 「な、何をしているだ、早く武器を使え」 「いや、武器ったって、俺持ってないぞ。それともなにか、石とかを使えばいいのか?」 『グルァァ!!』 俺は親父と話ながらも、狼の攻撃を避けていた。 「そう言えば、説明忘れていたな」 「説明?」 「ああ、まずは携帯を出してくれ」 「ん、わかった」 俺は避けながら、言われた通りにポケットから携帯を取り出す。 「出したぞ」 「よし、まずは携帯に見慣れないボタンがあるだろ」 「ん?」 携帯をよく見ると、右側に見たことのないボタンが取りついていた。 「見つけたけど、どうするんだ?」 「まずは押すんだ」 「うっ…」 何が起こるのか分からず、押すのをためらう。 「大丈夫だ。安心しろ」 安心できないから、躊躇ってるんだよ! 心の中で叫んだが、何の意味がない… 「ふむ、安心性がほしいのか」 「えっ?」 まるで、心の中を読んだような言葉だった。
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