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まあ、いいや、飯を食おう。
そう思って、手を合わせる。
「いただきます」
「いただきます」
言って、ステーキを食い始める。
ステーキは脂っこいがおろし醤油のおかげであっさりしていてうまい。
そうして食っていると親父が
「真、食べ終わった後、私の部屋に来てくれ。発明品の実験をしてほしい」
「うぇ…」
俺は嫌な顔をする。いままでの親父の発明品の実験台にされたトラウマを思い出した。
親父は俺の顔を見て、言い繕うように言った。
「そんな顔をするな。大丈夫だ、そんな難しいものじゃない」
「俺は、そう言われて、何度、大変な目に会ったか分かるかぁ!?」
「いやぁ…」
「何で、照れた顔をする!?別に誉めるようなことは言ってないぞ!」
怒鳴るが、親父は全く話を聞いてない。くそぅ…。
唸っていると親父がすでにステーキを完食していた。
「ごちそうさま。それじゃあ、部屋で待っているからな」
「えっ、ちょっと待って…」
親父は話を聞かずにいまをでていってしまった。
ハァ…、あのバカ親父は…。
俺は諦めたようにおろしステーキをゆっくり食べた。
少し、寂しく感じた。
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