親の発明

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俺はだだっ子の時の親父を疲れたように思い出した後、話を戻す。 「で、何で異世界に行くってことになったんだ?もしかして、異世界に行ける道具でも作れたのか?」 あり得ないと思いながらも聞く。 「ああ、そうだ」 「やっぱりか、作れたのか……って、マジかよ!!」 「ああ、マジだ」 親父がぐっと親指をつき出す。 正直、かなりうざい。 親父の手を払って、話を続ける。 「でも、いつ、そんなものが出来たんだ?」 すると、親父は腕を組んで、 「うーん」 と、唸りだした。 「どうした、親父?」 「実はな、その発明は私の閃きではなく、偶然、できたものなんだ」 親父は悔しそうに言う。あまり、偶然とか好きじゃないからな、親父は。 すると、いきなり出来たわけを話し始めた。 「最初は人を外国に瞬間的に移動する機械を発明してたんだけど…」 「おい、それ密入国じゃねぇか!」 「む、ばれたか」 「いや、ばれたかじゃねぇよ! バレバレだよ!」 俺は捲し立てるが、親父は気にしてなく言う。 「大丈夫だ。入国したら、空港のコンピューターに登録されるようになっているから」 「いや、それもダメだろ」 冷静に突っ込みを入れる。
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