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「ちょっと……」
まだ何かいい足りないのか、それともお礼でも述べて欲しいのか一ノ瀬さんが僕の手を握り引き止めた。
その瞬間に忘れ物でも取りに着たのか下山田さんが教室に入って来た。
下山田さんは一ノ瀬さんが僕の手を握るのを見て、なにをどう勘違いしたのか顔を真っ赤に染める。
何か見てはいけないものを見てしまったみたいな表情となり、さっと顔を背けて足早に教室から出て行ってしまった。
最悪だ。
何かしらの勘違いをされたに違いない。
「僕のことは放っておいてくれよ!!おせっかいなんだよ!はっきりいって!」
わざと下山田さんの背中に届くように大きな声で一ノ瀬さんに怒鳴った。
下山田さんはちょっと肩をびくっとさせ、振り向かずに立ち去っていく。
一瞬だけ泣きそうな表情を見せた一ノ瀬さんの手を振り解いて僕はその場を立ち去った。![image=433324414.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/433324414.jpg?width=800&format=jpg)
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