女川圭一郎が振り返る理由

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高校の同級生やバイト先の同僚にはないであろう「大人の余裕」と「財力」で俺は勝負する。 まあ、1個735円のストラップが財力と言えるかはいささか不安ではあるが。 ストラップにアドレスでもつけて渡そうかとも思ったが焦りは禁物だ。 それに下山田さんに既に彼氏とかいようものならいい笑いものになる。 読書好きな同級生や映画好きな同僚の件もある。 ここは慎重にことを進めないといけない。 いつも通り弁当やら飲み物を買い、下山田さんのレジに向かった。 「あ、お久しぶりです」 「お久しぶり。ちょっと出張に出てまして」 「出張! どちらですか?」 「福井です」 「へぇー。いいなぁ、あっちこっちいけて」 「仕事だから。大して面白くもないよ」 「そうですよね。失礼しました」 にっこり笑ってレジを打つ下山田さん。
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