女川圭一郎が振り返る理由

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「時田さんって確か東京の会社に就職したんだよね? どうしてここに?」 俺は久しぶりに再開した時田さんを連れてスーパー近くの喫茶店に来ていた。 「うちの会社、営業所やら支店が日本各地にあってね。せっかく東京に住める! って意気込んでいたのにこっちに転勤になっちゃったんだ」 「それは残念だったね」 「この街は女川君の出身地だったし一度連絡取らなくちゃって思っていたんだけど、仕事も忙しいし、色々ばたばたしちゃっているうちに時間が経っちゃって」 「いいよ、別にそんなこと気にしなくたって。こうして再会も出来たわけだし」 「ほんと、驚いちゃったよ。いきなり目の前に女川君が現れて。 一年ちょっと会わなかったけどすぐわかった。変わらないもん、女川君。まぁ、スーツ姿は新鮮だけど」 そこに注文したコーヒーがテーブルに運ばれ、一旦会話が切れる。
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