女川圭一郎が振り返る理由

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LOUIS VUITTON、PRADA、DOLCE & GABBANA、Diorなどこの辺りにはヨーロッパの一流ブランドがひしめき合うように立ち並んでいる。 俺は普段、ファッションに気を使うとはいえ国内ブランド程度しか買うことはない。 やたらデザインが誇張されたモード服ばかりを好んで買っている。 海外一流ブランドのショップ内はやはり敷居が高く緊張する。 コレクションの時に使用した音楽を店内で流し、コレクションの映像を壁一杯のモニターに写し出す店舗もあった。 シンプルなプリントシャツを手にし、値札を見て二人でわざとらしく声を出さず目を丸くしてふざけていると店員に背後から声をかけられる。 「なにかお探しのものがございましたらお申し付けください」 「あ、はい」 「そちらは春夏の新作モデルとなります」 俺が手にしたなんの変哲もないシャツに視線を送りにっこり微笑む。 「よろしければサイズをお出し致しますが?」
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