女川圭一郎が振り返る理由

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ブランド品は見るだけで満足、とにっこり笑う時田は俺の昔から知る時田と同じでなんだか安心させられる。 追い出されるようにブランド店から出た俺たちは間接照明のランプや磨きあげられたアンティークなテーブル、美しい絵柄が施されたティーカップなどの調度品が見事で、趣(おもむき)のある喫茶店に入る。 雰囲気代が数百円上乗せさせられたような深いのか苦いのか評価が定まらないコーヒーを飲んだ後、俺たちはボーリングをしに行くこととした。 街の案内とは言い難い行き先だが、堅苦しい高級な世界に疲れたと時田からボーリングを提案された。 俺は駅前にあるボーリングやゲームセンターが入るビルへと向かった。 休日と言うこともあってかボーリング場は大盛況だ。 ボーリング場のカコーンというピンが倒れる小気味のよい音は俺たちをなんとなく安心させた。
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