夏目宏市が噴火した理由

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だからといって僕がエブリスタ小説「名探偵下山田紗枝」シリーズの更新をやめたかと言えばそんなことはなかった。 むしろ現実世界のややこしさに疲れた僕は小説に没頭していた。 暇さえあればメモ帳に書き綴り、家に帰ってパソコンでアップを続けた。 小説の世界では僕が創造者だ。 誰にも邪魔されることも遠慮することもなく世界を創り上げられる。 正直ネタはいくらでも湧いてきた。 トリックもストーリーも次々と浮かび、鬱憤を晴らすかのようにそれらを文章に綴っていく。 ふわふわと脳内に浮かぶ言葉や物語を逃がさないように掴み取るようにキーボードを叩く。 はじめは荒くともみずみずしく生き生きとした文章を打ち込む。 しばらく綴ってから読み直し、粗い文章や表現を整えながら全体を読み返す。 新たに浮かんだ言葉や表現を付け足してはまた読み直す。 文章は綺麗に直しすぎないことも大切だ。 あまりに綺麗に直しすぎると文章の勢いが削がれてしまう。
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