貴志晃将がやっぱりモテない50の理由

9/12
前へ
/364ページ
次へ
もんもんとした一日が過ぎ、俺は松葉杖を突きながらスーパー『エリーゼ』へと向かった。 事務所に向かうとまだ下山田さんは来ておらず、事務所には店長が一人で帳簿をつけていた。 不自然じゃないように時間稼ぎのため、しばらく店長と雑談をしていると下山田さんと春日井さんが出勤してきた。 「あっ! 貴志さんお久しぶりです。もう大分良くなったんですか?」 「お久しぶり、下山田さん。まだ松葉杖ないと歩けないけど大分よくはなってきてるよ」 「はやく良くなるといいですね」 下山田さんはにっこりと微笑む。 「てか何しにエリーゼ来てるの? 歩くの大変なら来なきゃいいのに。バカ?」 春日井さんはひねりもない言い方で俺を非難する。 「忘れ物があって取りに来たんだよ」 そう言ってロッカーにしまってあった、どうでもいい着替えが入ったバッグを春日井さんに見せる。
/364ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加