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結局下山田は切り出せないまま、ホームルームは終わり、下山田の胸の中はもやもやとしたまま解放となった。
下山田を睨んでいた女子集団は特に何も言ってこず、下山田に一瞥もくれず教室をあとにした。
これでよかったのだろうか、という後悔の念が消えない。
「ありがとう、下山田さん」
クラスの全員がいなくなった教室で一ノ瀬が下山田に声を掛けてきた。
「あの……っっ。私…………ごめんなさい……」
「いいのよ、下山田さん。ありがとう」
何に対して謝り、何に対して感謝しているかは言わなくても分かっている2人の短い会話。
下山田は目に涙を溜めていたが、気丈な一ノ瀬はまるで気にしていない表情で下山田の頭を撫でてもう一言お礼を述べた。
「ありがとう」
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