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「女川君は正式に別れていないならちゃんと倉持に報告をしに行くべきだって言って聞かないからこうしてやってきたの」
俺は真実を言おうとするが時田がそうさせまいとまた言葉をかぶせてくる。
「そうなんだ。なんだか悪いな……」
「こういうことははっきり言わないと何にも進まない。例え倉持に殴られても俺はお前との交際を倉持に説明する、って言ってさ、女川君。
最初はちょっと困ったけど男らしくてはっきりしていて、それだけ私のことも真剣に考えてくれてると思えて嬉しかった」
完全なる作り話を時田は語る。
はじめは小さかった声も次第に怒気を帯びたように熱っぽくなる。
自分で自分の作り話に興奮したようだった。
それは完全に自然消滅を狙った倉持への当て擦りだった。
「それはよかったな。……女川もよかったじゃないか。お前は大学時代から里佳が好きだったんだろう? あ、別れた彼女を呼び捨てとかよくないか。時田さんね」
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