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「……っ!」
俺は言葉に詰まった。
大学時代も誰にも時田が好きだということは言っていなかったが態度でばれていたのだ。
倉持は時田に嫌味を言われた憂さを晴らすかのようだ。
「ちょっと倉持君。やめて」
「りか--時田さんも笑いながら言ってたじゃないか。女川君にしつこく誘われるって。あの頃は絶対無理とか言ってたくせに。
はっきりとして男らしいところに惚れちゃったのかな?」
倉持が言い終わるか終わらないくらいのタイミングで時田の平手が倉持の頬を叩いた。
小気味がいいくらいにパンっという音が響いた。
時田は目に涙を溜めて少しだけ倉持を睨みつけ、公園から駆け出していった。
脇役の俺は慌てて時田のあとを追いかける。
こうして人生初のへんてこな俺の修羅場は終わった。
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