女川圭一郎が脇役であることに自ら気付いた理由

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俺は駆け出す時田を追った。 時田は意外に足が速く、追いつくまでに情けないくらい時間がかかってしまった。 ドラマの主役ならほんの10秒程度で捕まえるのだろう。 だが俺は走り出して2分くらいかかってようやく時田を捕まえた。 俺が捕まえると時田はその場でしゃがみ込み泣き出しす。 「ごめんね。ごめんね」と何に関して謝っているのかは分からない謝罪を時田は繰り返す。 俺は何一つうまい言葉が思い浮かばず、時田の肩を抱いた。 彼女が泣き止むまで柔らかく彼女を包んでいた。 涙と共に彼女の悲しみも全て彼女の中から流れ出てしまえばいい。 脇役だってたまにはこんな気障な表現しても罰は当たるまい。
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