夏目宏市が貴志晃将と知り合った理由

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一ノ瀬さんがクラスの中でやや孤立し始めて1週間がたった。 誰かを生け贄に捧げ、嫌がらせをすることで生まれる団結力。 そういった団結力というのは案外強い。 あからさまな無視や嫌がらせをしているのはクラスでも一部の人間ではあった。 しかし一ノ瀬さんをあからさまに邪険にしない人たちも主犯格のグループが恐いのか、積極的に一ノ瀬さんと関わろうという人は少なかった。 一ノ瀬さんを無視している連中は仲間を増やそうと一ノ瀬さんネガティブキャンペーンをしていたようだが、僕のところにはその連絡すらない。 無視しようとかいう団結時にまで無視されている僕は、よくよく無視されている存在なんだなと変なことに改めて実感する。 嫌がらせ的な無視ではなく存在の希薄による無視なんだろうが。 もちろんそれは僕にとって非常にありがたい話であった。
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